KANA-BOON、クリープハイプ、ゲス乙女…なぜ最近のJポップ・邦楽ロックには似た曲が多いの? 編集部が考えてみた

フェス・イベント レビュー 邦楽
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ファッション業界やテレビ業界に流行があるように、音楽業界にも流行がある。
しかし「これは音楽史に残るバンドだ、流行を代表するアーティストだ」と断言できるミュージシャンが日本に存在するかと言われると、答えに困ってしまう。
現在活躍するミュージシャンは流行を作りだしているかもしれないが、必ずしも革新的ではないからだ。

例えば「リアルな恋愛観が女子の共感を集める」なら西野カナmiwa阿部真央
「卓越した技術と音の細やかさを売りにした技術系バンド」であれば9mm parabellum bullet凛として時雨ゲスの極み乙女。などが挙げられる。
「不思議な存在感とあどけなさのあるウィスパーボイスが売り」であればパスピエ薬師丸えつこDAOKOだろう。
あとは「中性的なボーカルと疾走感のあるサウンド」KANA-BOONクリープハイプになる。

このようにだいたい似たようなグループ・ジャンルで一括りにされるのが、今のJポップ・Jロックの傾向ではなかろうか。

つまり「唯一無二」の存在がメジャーシーンに欠けているのだ。

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世間が求める音楽に供給過多な日本

はじめに、この記事は決して懐古系記事ではない

「昔の音楽シーンは良かった」なんて言ったところで流行は待ってくれないからだ。

だが、複数のミュージシャンが同じジャンル・グループとして括られてしまうことが以前より顕著なのはなぜだろうか

彼らが特定の傾向でざっくりと括られてしまう原因は、彼らの音楽環境と視聴層の音楽環境が近いこと関係する。

例えば今ブレイクしている「2010年代ミュージシャン」のフロントマンが影響を受け、バンドを始めたきっかけとなるミュージシャンを挙げてみると、面白い傾向が掴める。

KANA-BOON 谷口鮪(1990年生):マキシマム ザ ホルモン、ASIAN KUNG-FU GENERATION
back number 清水依与吏(1984年生):Mr.Children、スピッツ、サザンオールスターズ、コブクロ、槇原敬之、椎名林檎。
クリープハイプ 尾崎世界観(1984年生):ゆず、BUMP OF CHICKEN、フラワーカンパニーズ
SEKAI NO OWARI Fukase(1985年生):ゆず、洋楽パンクロック全般

BLUE ENCOUNT 田邊 駿一(1987年生):ELLEGARDEN

等々…。

彼らに共通するのは、成長期に特定の近しいジャンルの音楽を聴いているということだ。

一歩手前の世代(アジカンやストレイテナー、ELLEGARDEN等)が様々な洋楽の影響を受けて成長したことを考えると、ここまでJポップ寄りな世代も特殊である。

もちろんゲスの極み乙女。のボーカル・川谷絵音のように毎月新しい音楽を積極的に吸収しているミュージシャンや「音楽オタク」と言われる人びとは存在する。しかし背景を流れる「Jポップ」は他の世代よりも強い。10年代ミュージシャンが複数のグループで括られがちなのは、楽曲に潜む「Jポップ要素」が強いからだともいえる。

また、何より彼らが現在もバリバリ活躍しているミュージシャンをリスペクトしているということも重要なポイントだ。彼らが尊敬するミュージシャンは今なお地上波に出演し、幅広い世代に愛されている。つまり、作る側(ミュージシャン)と聴く側(ファン)の間に「かっこいい音」としての共通認識がすでに生まれているのだ。

聴く側はリスペクト元を知っているからこそ、楽曲の「〜っぽさ」を察知しやすい。そして複数のミュージシャンに共通する同要素の「〜っぽさ」を繋げやすく、グループ分けしやすいのだ。

もちろん似たり寄ったりのバンドが集結することはいつの時代にもある。しかしゼロ年代以降にその「似たり寄ったり」が重度化したのは、ミュージシャンとファンが同じ目線で音楽を聴くようになったからなのかもしれない。

なんで「直球勝負の歌詞」が無個性になるの?

だが視聴層が楽曲にシナジーを感じやすい、という面では「サウンド」よりも「歌詞」の要素の方が重要だ。
例えば2013年にはとうとう「LINEの既読」が歌詞に出てきたことが話題になった。
「LINE」が多くの人々の共感を引き出す装置として浸透するようになったことを象徴する出来事だ。
しかし、そのように人々の「共感」に歌詞を寄せすぎると、時として「ありきたり」な歌詞になってしまうことがある。そして大衆向け(お茶の間に流れる音楽)であればあるほど歌詞の「ありきたり度」が強い

このように歌詞が似たり寄ったりになるのも理由がある。それはより多くの人の共感を得られれば得られるほど曲が売れる可能性があるからだ。

さらに近年ではSNSによって人びとの心理状態が共有されるようになり、「私にしかわからないこの気持ち」が不特定多数に賞賛される環境が整備された。

しかし共感が集まれば集まるほど、感情はより希薄にはなる。

今「邦楽どれも一緒に聴こえる」問題に気づき始めている人は、そういった多くの人にシェアされる程度の感情にマンネリを感じている人びとなのかもしれない。

唯一無二のアーティストとは?

では歌詞や曲調、キャラクターによって「唯一無二」のポジションを確立したミュージシャンとはどんな特徴をもつのか?
それは「この人(たち)にしかない魅力」、もとい「革新性」をもっていることである。

例えば宇多田ヒカルがブレイクした理由は、彼女が日本語歌詞をR&B調に歌い上げたことが珍しかったからだ。
ワールドツアーが始まるBABYMETALが海外でブレイクしているのは、可愛い女の子とゴリゴリなメタルの組み合わせが斬新だからに他ならない。
アリーナツアーを控えるPerfumeが他の追随を許さないのは、彼女らの高度なテクノパフォーマンスと天真爛漫なキャラクターのギャップのバランスが真似できないものだからだろう。

もちろん先人を踏襲することはまったくもって悪くない。音楽はそうやって発展してきたのだから。
しかし先人ができなかった、してこなかった要素をプラスしなければ、それはただの「真似」や「〜っぽい音楽」になってしまう。
このまま妹分や弟分、上位互換と下位互換だけが増え続けると、音楽はつまらなくなる。

可能性を広げるのは音楽ファンである

ただし音楽シーンに「似たような人たち」が増えてきたのは、何も音楽業界だけのせいではない。
この記事を読んでいるあなたはどうだろうか。自分の聴く音楽を一度省みてほしい。

もしYoutubeの関連動画に出てくる特定のアーティストをループし続けているようなら、それはあまりに勿体無いと思う。


ぜひ積極的にアンダーグラウンドなヒップホップも聴いてほしいし、時には今のジャニーズEXILE、昔のR&B、レゲエまで一通り聴いてみてほしい。
また「ロキノン系乙wwwww」な人も、一度でいいので新しい世代のバンドがどういった特徴を持つのかを真剣に聴いてみるといい。もしそれが億劫なら、FUJI ROCK FESTIVALSUMMER SONICなどの大型フェスに赴くのもいいだろう。好き嫌いはそれから判断してもらいたい。

例えば春にはビクターロック祭りやunBORDE 5th Anniversary Fes 2016、SYNCHRONICITY’16ARABAKI ROCK FESなどさまざまなフェスが待ち構えている。
チケットストリートでは定価販売よりもお得なチケットが販売されることもあるので、ぜひ覗いてみて欲しい。

最後に説教くさくなってしまうが、私たち視聴層も変わらなければ、今後登場するアーティストのタイプもより均一になってしまう。
「直球」で「等身大」の歌詞は聴き飽きてしまうし、どこかで聴いたことのある「エモーショナルな」メロディーにはもはやエモさを感じられない

音楽業界に「聴いたことない!」という衝撃を絶やさせないためにも、ぜひ様々なジャンルのライブに足を運んでほしい。

コメント

ねこ
2016-02-07

最近の人はロックの先駆者の音楽を聞かないしジャンルも狭い!XJAPANしか知らないでバンドを始める人もいる時代だ!ストーンズ、イギーポップ、デヴィッドボウイ等確ジャンルの先駆者がいるのに誰も知らないとかね、後は一般受けする歌詞と音で作るから毒にも薬にもならない物になる!彼等は広く一般の人気者になりたいから音を追及せずに簡単な物を作ってしまう、メジャーでもチャートに居ない様なアーティストの方が良いものがある!

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